元カレバンドDX

 それは、学園祭2日目が終わった日の夜だった。

 部活の打ち上げに参加したあたしは、疲れきった身体を引きずるようにして帰路についた。

「た~だ~い~ま~」

 誰もいない、ひとり暮らしの部屋に、ご主人様の帰宅を伝える。

 そして、眠気に誘われるままベットに倒れ込んだそのときだった。

 LINEの通知音が鳴る。

 今にも寝てしまいそうなあたしに届いたのは、あの彼からのLINEだった。

【おつかれ~
 昨日は、陽愛に出会えてよかったよ
 陽愛の歌声は、可愛くて大好きだから
 いつかおれのギターでも歌って欲しいな】

 いきなりの“呼び捨て”メッセージは、それだけでもかなり驚くのに、胸がきゅんとなるような甘い言葉に、あたしは目眩がした。

 あたしの眠気も一気に吹っ飛んでしまい、頭は冴え渡る一方だ。

 ふいに彼の顔が浮かぶ。

(あ……もう……手遅れ……かも……あたし……ちょっと……好き……かも)