チキンライスの中のグリンピースをよけて、小巻のカルボナーラの上に置いた。

「最後に“わ・ら・う・の・は”だよ♪」

 あたしが置いたグリンピースも気にせず、小巻はカルボナーラを食べた。

「へへ……へへへ」

 なんだか笑いが止まらない。

 こんなに嬉しい言葉を、ただ者じゃない小巻の口から聞けるとは……

「小巻だけだよー!!さすがはあたしのエンジェル!!!あたしのことをよくわかってる!!」

「わたし、陽愛のエンジェルなの?」

 まんざらじゃない様子で、小巻も笑う。

 こんなに素敵な親友がいるのだから、あたしが落ち込んでる暇なんてないじゃない。

 あたしは小巻の言う通り、最後に笑わなくてはいけない気がした。

 きっとそれが「あたし」なのだ。

「恋愛」という最高の人生経験を積んで、まだまだ「あたし」は進んでゆく。

「男」の数だけ泣かされて、「愛」の数だけ強くなる。

 転んで泣いて、また起き上がる。

 あたしはきっと、歩く「おきあがりこぼし」なのだ。


【on bass 充晴-END】