元カレバンドDX

 目の前には、透き通るような茶色い目をした男性が立っていた。

 色素が薄いその瞳は、それだけを見ると、日本人ではないようにも見えた。

「はい……そうですけど、なにか?」

 その反面、日本人であることを誇示するかのような黒髪の彼は、そのサラサラの髪を触りながら言った。

「さっきのライブ、すごくよかったです!!実はおれもバンドでギターやってるんですよ」

「はぁ、ありがとうございます……」

 あたしは上目づかいで彼を見る。

「あ、おれ、スバルって言います。今日は友達に誘われて遊びに来たんですけど……あ、ボーカルさんのお名前は?」

「小原、陽愛です……」

 あたしは、この人の目的はなんなのだろうと警戒する。

「え?“ひめ”ってお姫様の“姫”って書くんですか?」

「いえ、太陽の“陽”に“愛”で、陽愛っていいます」

「へ~変わってますね!声もすごく可愛くて魅力的だったけど、名前も可愛いんですね」

 そう言って微笑む彼に、なぜかあたしはドキリとした。