一番近くて 手の届かない君へ

お皿を洗って 煙草の吸殻をティッシュに包んでゴミ箱に捨てた。


亜里沙の彼氏も煙草を吸うから匂いは大丈夫だ。



「んじゃ 帰るから」


と俺はコートを羽織り玄関に立った。


「雫、ほんとにありがとう」


と言って亜里沙は俺のほっぺにキスをした。


「ほんとにごめんね・・」


としおらしい顔をする。


「淋しくなったらいつでもどーぞ」


と俺は笑顔を返して玄関を出た。



そしてすぐに鍵の締まる音が聞こえた。


ひゅ~~と冷たい風が顔に吹き付けた。


「さむ」


と歩いていると、正面から若い男が歩いて来た。


何やら早歩きでこっちへ来る。



そうして俺とすれ違って行った。


俺は数歩歩いてから後ろを振り返った。


すれ違った男は真っすぐと亜里沙のアパートへ向かっていた。



(あれが亜里沙の彼氏か・・?


 やべぇやべぇ)


と俺は思った。


もう少しで鉢合わせするところだった。


俺は駅に向かって電車に乗り新宿で降りた。


分煙のあるカフェに入りブレンドを注文した。



(バイトまで後2時間か・・)


俺は煙草に火をつけて スマホを出した。


ざっとツイッターを見たけど面白いつぶやきは無い。


俺は少し考えてから、小説サイトへ飛んだ。



そして 胡桃1210の 小説を読み始めた。



(う、また暗い出だしかよ・・)


と思いながらも、俺は読み進めていった。



まるで 胡桃1210のダークワールドに惹き込まれるように・・・。