〔side 奈緒〕
「お母さん。私の髪、縛ってくれない。」
「いいけど、奈緒、学校遅刻するよ。ついでに、優雅くんがこの町に戻ってきたって。あいさつくらいは、しなさいよ。」
「は~い。いってきまーす。入学式、見にきてね。」
 優雅とは、幼い頃、付き合うと約束した。

校門前

ここが、今日から通う高校か。急に後ろから声をかけられた。
「奈緒。こっちきて。」

校舎裏

私に、声をかけたのは知らない人のはずなのに、なんか懐かしいような気がする。
「あの、誰ですか。」
「おぼえておいの。約束したじゃん。俺がこの町に戻ったら付き合ってくれるって約束したじゃん。」

この話を知っているのは………。