暖かなぬくもりの中、包まれて目を覚ます。
顔を上げると、そこには大嫌いな筈の腐れ縁がいる。
こうして共に眠るようになってから、どれだけの月日が流れただろうか。
提案はあいつから、それが妙に心地よくて。
「アーサー…起きて」
目覚めの口付けをしようとして、のろのろと伸びてきた手に制止された。
「んー……」
「…なんで止めるの」
「うるせ、ひげ…もうすこし」
起こした体を引き留めるように、服の裾を引っ張られる。
「えー…ベゼさせてくれたら考えてあげるけど」
「…しかた、ねえな…さっさとやれ」
「めるし♥」
ちゅ、ちゅと短いキスをして、布団の中へ潜りこむ。
その腕の中に俺が収まると、優しい手つきで頭を撫で始めた。
「おまえ、ほんとに俺の髪すきね」
「…きもちいいから、な」
「うん…おれも、なでられるの、すき……」
胸のあたりに、顔をうずめてみる。薔薇と紅茶が入り交じったいい匂いがした。
と、今度はアーサーから俺の額にキスが降る。
「んー……」
「…くすぐったい、アーサー」
「なら、もっとしてやろーか…」
額から瞼へ、頬へ、鼻へ。
そして最後に唇へとキスが下りる。
軽くじゃれるような口付けは、まるで自分達が恋人同士であるかのような錯覚さえ起こさせる。
「ふふ…おやすみ、アルチュール……」
「ん……おやすみ、フラン…」
甘く柔らかな雰囲気の中、俺達は睡魔に誘われるがまま瞼を閉じた。