「それって最低じゃないですか…。」


「でしょ?」


「やってられなくなったから家出してきたわけ。
 お分かり?」


そうやって楓相手に蜜華と愚痴を零していると家のチャイムが鳴る。


宅配便か何かだと思ったら面倒臭くて,楓に行かせた。


すると外から揉める声。


だけど蜜華と二人で知らない顔。


頑張れ楓。


なんて人事じゃないことにはまだ気付かない。


うるさかったのか紫音がムクッと起き上がり,『りおんのとこいく』と寝ぼけたままリビングを出た。


少しして聞こえた慣れ親しんだ声。


私は楓が誰と揉めてるか分かった。


するとバタバタと家の中を歩き回る音。



「憂!?」


息を切らして現れたのは…今1番見たくない奴。


譲だった。


蜜華は譲を見るなり心底嫌そうな顔をした。



「蜜!?」


突然現れたあーちゃんを私が睨む。


何であんたまで。


蜜華からそんな心の声が聞こえた気がした。