リビングに戻ると誰もいなくて。


私は広いリビングの隅っこで縮こまった。


譲のことを思い出したから。


今になっての浮気とか正直厳しいよね…


10年以上付き合ってて今更。


もうやだ。



「えっと…憂さん?」


こんなときにリビングに入ってくる楓。


タイミング悪っ



「何?」


「ケータイ…」


「そこらへんに投げといて。」


そういったのに…


何で近付いてくるかな。


楓は私の前までくるとしゃがみ,携帯を差し出す。



「泣いてるの,らしくないっすよ。」


「泣いてなっ…」


そういって顔を上げたとき,頬に涙が一筋。


嫌味でも言われるのかと様子を伺ってたのに,楓は何も言わず,ただ傍にいてくれた。


そんなとこが譲に似ていて。


気の済むまで泣かせてもらった。



「旦那さんと何かあったんですか?」


泣き止んだ頃,楓はそう言ってきた。