「まじですか?」


「だから本当だって。
 でも優には絶対この話をしないで。
 優から話してこない限り。」


よく譲を言いくるめるときのように笑顔で言い放った。


楓にも効果があったらしく何度も首を縦に振っていた。



「もういい?」


返事を待たずに立ち上がると,聞き間違いじゃなければ『あっケー番教えて下さい』と聞こえた。

断ろうとしたけど『優に何かあったときの為』と言われたら教えないわけにはいかない。


私は渋々携帯を開く。



「真っ暗…
 どうりで静かなわけだ!」


いつの間にか電源が切れてたらしい。


私は近くにあった充電器を挿し,電源を入れる。


少しすると,着うたが鳴り響き画面に表示されている『新着メール』の数字がどんどん大きくなっていく。


最終的には32件。


そのほとんどが譲からだった。



「お姉さん?」


「それやめて。
 憂でいいから。」


メールは見ずに携帯を楓に向かって投げる。


『赤外線で送って』と言い私は客間を出た。