「憂様…」


「この子たちずっと久世さんと話をしたかったのよ?
 今日,昔のことを優と話してね,言われたの。
 『辛い思いさせちゃ駄目』って。
 今日も久世さんと話が出来なかったらこの子たち辛いと思う。」


ねぇ久世さん,紫音と鈴音を可愛がってね?


久世さんに笑顔を向けると,久世さんは紫音と鈴音の前に屈んだ。


『お話しましょう』と2人を撫でる久世さんを見て,私と優は手を取り合って喜んだ。



「ねぇ久世さんのこと“おじいちゃん"って呼んでもい−い?」

「あ−っしおんが言おうと思ってたっ」


一瞬目を大きく開き瞬きしたあと,泣きそうな顔で『もちろんですよ』と返事をしていた。


私と優は邪魔にならないようそっとその場を離れ,夕食の支度に取り掛かった。


それから,紫音と鈴音は久世さんにべったりで,結局久世さんは泊まっていった。




この日,これでやっとみんな元通り!って思った。


でも…まだ別の問題が残されていることを,私の頭は忘れていた。