『おい、たかし』 誰かがたかしを呼ぶ声がきこえた。 声に聴き覚えはない。 その声は 必死にたかしに何かを訴えかけているように聞こえてたかしは耳を傾けた。 たかしを呼ぶその声は悲しみの表情をうかべひたすらたかしの 名前を呼んでいる。 『僕は ここに居てはいけないんだ。』 声に導かれるように再び暗いトンネルに入り、来た道をもどっていく。来るときとは違い、とても嫌な気分になった。一歩また一歩歩くたび、体が重くなり息が苦しくなってくる。『苦しい、でも歩くしかない』 それからどれだけ歩いたかは覚えていないか、視界が開けると そこは病院のベッドの上だった。