『んっっ 、』薄暗い 部屋 消毒薬の刺激臭 『ここはどこか?』 起き上がろうとした時手足が縛り付けられている事に気づき、たかしは悲鳴を上げた。 『うわぁぁ』 『誰か助けて』 力いっぱい叫んだ。 しかし辺りに人の気配はない。たかしは右腕に渾身の力を込めて、体の自由を奪っている布を引きちぎろうとした。布はちぎれずほどけもしない。 たかしは混乱した。 『誰か助けて 僕はここだ~"』 たかしの叫びは山びこのように共鳴した。 けたたましく獣じみた声が帰ってくる。 しばしの静寂、沈黙したたかしは暗闇に叫び続けた。 どれくらい叫んだだろうか、辺りはやはり暗く人の気配はない。 たかしはとても悲しい気持ちになり、目から涙があふれてくる。 そして、悲しい気持ちを払拭するように また大きな声で助けを呼ぼうとした時、 何者かがたかしを呼んだ。 『おい、たかし』 『誰だ、助けてくれ』 『おい、たかし』 二度目の声を聞いて たかしは恐怖した。 (まぎれもなく自分の声であった。) 『お前は誰だ。』 声『俺はお前だ』 声『お前を縛っているのはお前自身 お前しか自分を助けられない。』 『おい 助けてくれ』 しかしもう声は聞こえない。 ふっと体が軽くなり たかしは勢いよくベッドから飛び起きた。