「あ、聞いて! あのねあのね、ぶっ」
私がさっきのことを話そうとすると、なごみが持っていた参考書を私の顔にぶつけた。
痛い。普通に痛い。
「教室行こ。ここ暑い。それでなくても隣が暑いのに」
なんて言いながら、なごみはスタスタと廊下を歩いていく。
なんか最後の一言余計じゃない?
私ってそんなに暑いわけ?
そう思いながらも私も教室に向かって廊下を歩く。というか、なごみを目指して小走りで歩く。
階段を登る手前でなごみに追いついた。
「ちょ、なごみ早い」
「鈴華が遅いのよ」
なんて言いながらも私にスピードを合わせてくれるなごみ。
なごみが優しいって知ってる私は頬が緩む。
