『陵斗』


この声は、もう聞けない


「陵斗さん」


変わりに新しい声が聞こえる

過去に囚われている俺を助けてくれたのは
10も離れた女子高生

君に言ったら『犯罪よ』とか言われそうだけど


助けてくれたんだ
君のことも俺のこともちゃんと考えてくれたんだ
彼女の存在が大きくなってるんだ


君のように


もしかしたら君よりも大きな存在になるかもしれない
君は嫉妬しちゃうかもね


もし、君より大きな存在になっても…

俺は君のことを忘れることはないから
そこだけは安心して


『好き』


この言葉も


『陵斗』


色んな言葉も
ちゃんと、全部覚えてるから


色褪せることのない、思い出だから。










      ──またね、凛──