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暫くすると、先生が口を開いた。




「風音…」

「…はい」




先生の敬語が外れた。なんて。

思っても、口に出したくても。この空気感では言えない。
この、重苦しい雰囲気では……



「お前は、似てるんだ」

「だ、れ…と?」

「凛(りん)。俺の元カノと」




いきなり何を言うのかと思った。

先生は、何がしたいの?

私と元カノが似てるから、どうしたっていうの?

なんで、突然、敬語を外して、私にそんなことを話すの?


色々聞きたいのに。先生の顔を見ると聞けない。
聞いてはいけないような気がする。

なにも聞くな。話を聞けと言われている気がする。




「これからどうでもいいことを話す。聞きたくないなら…今ここから出ていけ」

「なんで…いきなり…」




バカだ。私は。空気の読めない、大馬鹿者だ。
今さっき、理解したはずなのに。




「……聞きます。先生のこと、知りたいから」




───好きだから。