放課後。


私は緊張の面持ちで国語準備室の扉の前に立っていた。
なかなか開けずにいる。


ふぅーっと息を吐いて、決心した。



ーーーコンコンコン…




「どうぞ」




中から先生の声が聞こえる。
いつもと変わらない声。

これから何が起こるのか分からない。




「失礼します」




私は扉を開けて部屋へと入った。

部屋へと入るもいつもと変わりなく、教員机で仕事をしている先生。


ただ、今日はその机にいつもないものが置かれている。




「先生……それ…」




私は先生の机の上にあるそれに手を伸ばす──



ーーーバシッ



途端、先生に手を弾かれた。




「っ」

「悪い…」




先生の敬語が外れた、なんて思っている暇もなくて。




机の上に置いてあったそれ─写真立て─の中には高校の制服を着た男女。

2人は微笑み、手を繋いでいた。

その手の繋ぎかたは恋人繋ぎで…しっかりと、握られていた。