「なにそんなにやけてるわけ?
 おはよー、こーはるちゃん。」

語尾に音符がつくぐらいのテンションで話しかけてきたやつ、

そう、松坂くん。

私なんかに音符つけるなら、さっきの挨拶してくれた女の子に音符つけてやりなさいよ。もう。

「小春ちゃん?気安く呼ばないでよ、
 七瀬と申します!!覚えてる?」

小春ちゃんなんて、ファンの前で言わないでよ、なんて心の中で叫びながら話す。

「あは、覚えてるに決まってるじゃん、家、隣だよ?」

「言うなっつーの!ばれるでしょ。」

ひそひそ声で必死に伝える。
伝わるかな、こいつに。
小さい頃、
アイスをこぼして泣きそうな私に
とびっきりの笑顔で
『ばーか!!ばかこはるー』
とかトドメをさしてくる心のない翼に。


「え、なにがぁー??」

テレビの中から出てくるようなとびっきりの笑顔で言う翼につい、言ってしまった。

「うぜー。」

やっぱり伝わらなかった。