ガチャ 「あがって。」 「おじゃまします。」 今だけは、お母さんの部屋に着くまでの短い廊下を優の家みたいな果てしなく長い廊下が良かったな。 「ただいま…お母さん」 返事はなし。 いつも通り。 「初めまして。」 優は、私のお母さんの前まで行って正座した。 お母さんの目は、うつろで。優の顔をじーっと見ている。