ー…居ない。 あの子の歌声も、人だかりも。 今日はなかった。 「…ちくしょう。」 聞こえてくるのは、下手くそな歌声。けして上手いとは言えないギターの音。 俺に見えるのは、公園の中にぽっかりと開いた彼女のスペース。 ー…でもこの人気の公園で、彼女の場所が空くということは、ほぼ毎日あの子が通っているという事だからだ。