「あのね、日曜日のみわちゃんのお誕生日会なんだけど、お茶会があるから僕行けないんだ」

みっくんのお母様は茶道のお教室を開いており、みっくんも物心着く前からお茶を嗜んでいる。

天使のように愛くるしいみっくんは時折マスコットキャラとしてお母様の開催するお茶会に参加している。

「うそ!」

さっきまでの偉そうな態度は何処へやら。

私の顔は悲しみで歪む。

「ごめんね、ミワちゃん」

みっくんは申し訳なさそうに長い睫毛を伏せる。

「みっくんの嘘つき!」

私は怒り任せに目の前に置いてあるテーブルをひっくり返す。

プラスチックの容器が音を立てて四方に散らばり、ビニールシートの上にはおままごとで使った泥水やら枯れ草やらがぶちまかれた。

みっくんの真っ白いポロシャツは泥だらけ。

私が着ていたお気に入りのピンクのワンピースも汚れてしまった。