「なつかしいなー」

みっくんは客間の和室をぐるりと見渡す。

今日はブルーのシャツにグレーのパーカーを羽織りデニムを履いていて、足の長いみっくんによく似合っている。

朝なのに寝ぐせ一つついていない。

一方私はネイビーのトレーナーにボーダーのルームウェアというなんとも気の抜けた姿。髪の毛は一つにまとめているもののメガネだし。

「あの…よかったらお座りください」

そう言って座卓の前に置いてあるお客様用のふかふかの座布団を勧める。

「大槻さんのところの秋桜はとても綺麗ですね」

みっくんはガラス戸から庭を覗き、目元を綻ばせる。

柔らかな笑みに思わず見惚れてしまいそうになる。

草むしりくらいしか手入れはしていないが、秋桜は毎年咲いて、種を作り自然と増えて行った。

「ありがとうございます」

私もみっくんの隣に並び、庭の秋桜を眺める。

ビビットなピンクと淡いピンクのグラデーションが美しい。

へんてこりんな格好でお相手させられた不満が少し和らいでいくようだ。