「それはおめでとうございます」

みっくんは二コリと柔らかな笑みを浮かべる。

その笑顔には騙されないんだから。

素敵な笑顔に思わずトキメキとうになってしまったが、慌てて気を引き締める。

私はフンと鼻を鳴らして視線を逸らす。

「そう言えばこの間もらった栗ですけどとても美味しかったですよ。大槻さんに料理が出来るとは思いませんでした」

褒めているようで遠まわしにディスってるし。

あの!といって私は声を張り上げた。

「なんで赤城さんが辻堂にいるんですか?恵比寿に住んでいるんじゃないんですか?」

私は眉間に皺を寄せて訝しげな視線を向ける。

「ちょっと家庭の事情で帰省しているんです」と言ってみっくんはごにょごにょと言葉を濁した。

「そうですか」

別に赤城家にどんな事情があっても構わない。

みっくんが私に構わないでほしいのだ。

「あの…大槻さんはいつもこんな遅い時間に帰っているのですか?」

「そうですよ」

「職場は?」

「六本木一丁目です」

みっくんの質問を全て一言で返していく。