手にしたノートの表紙には黒ずんだ血痕がついていた。


ぞくっと背筋が凍てつく。


見えない映像が脳裏をかすめる。



このノートを持って、秀はわたしに会いにきてくれるはずだった……。



それなのに……。



そう思うと、また涙腺は緩んだ。



悲しみが目に溜まり、ポタッと音なく落ちていく。


溢れ出た悲しみの欠片は、秀の温かな痕に重なった。



血を見ても怖いなんて感じない。


それより、秀のぬくもりすら感じる。





震える胸で大きく空気を吸い込み、中を開いた。





わたしで終わってるはずの日記……。





でも、開いた最後のページには、見慣れた秀の字が並んでいた。



知的で男らしい独特の字は、いつもより綺麗に書かれてある気がした。



その一文字一文字を、噛み締めるように目で追った。