良ちゃんの声でわたしは顔を上げた。 目ももう限界で、良ちゃんの顔もよく見えてない。 良ちゃんが指差す先に顔を向ける。 どうして……ここにこれが? そこには、あのノートが置いてあった。 秀とやってた、交換日記。 『亜希に渡したいものがあるんだ』 電話でそう言った秀の声が蘇る。 これ……のこと……? どこかへ行ってしまったような自分の足を呼び戻し、最後の力を振り絞って立ち上がる。 そして、日記にそっと手を伸ばした。