あの日、どうして秀くんのところに行ったのか、亜希は自分でもわからない。


気が付いたらあそこにいて、秀くんが帰ってきた。


秀くんが住んでるところ、亜希は知らなかった。



それなのに……どうして?


忘れちゃったこと、少しずつ、思い出してるのかな……?


今は忘れちゃってるけど、亜希は秀くんが好きで……。



だからあの日、秀くんのところに行けたのかな……?



秀くんと一緒にいると、何だか安心した気持ちになる。


よくわからないけど、ホッとする。


それがどういう気持ちなのかよくわからないけど、いつもそうなる。



でも今……亜希は良平くんが好き。



考えても考えても、わからない。




亜希は……誰が好きなの?


誰が……。




頭がズキッと痛くなった。


ガンガン叩かれてるみたいに痛い。




駄目……。


やっぱり、わからない……。



わからないよ……。