「尋乃ちゃん、良ちゃんのこと好きってホント?」
その日の部活が終わる頃、亜希先輩は突然そんなことをわたしに訊いた。
えっ?!
どっ、どうしよう……。
突然のことに、誤魔化すにもちょうどいい言葉が出てこない。
一番、知られたくない相手なのに……。
そんなことを思いながらもじもじしていると、亜希先輩は私の肩をガシッと抱いて笑った。
「もっと早く言ってくれればいいのにぃ!」
……え?
何……それ。
「良ちゃんなら、わたしが協力してあげるよ」
亜希先輩はやっぱり可愛い笑顔を見せてわたしにそう言った。
最初は訳がわからなかったけど、わたしはその一件から亜希先輩と急激に仲良くなった。
亜希先輩は、わたしの知らない良平先輩の話をしてくれたり、色んなアドバイスをしてくれた。
とにかく、良平先輩を好きな気持ちを誰より応援してくれた。
自然と避けていた相手だったけど、わたしはいつの間にか亜希先輩が大好きになっていた。
結局、わたしは先輩たちの卒業式の日、良平先輩に募らせた想いを伝えた。
亜希先輩がいたからわたしは気持ちを伝えられたし、良平先輩と付き合えたんだと思ってる。