三月になったら……


とか言ったけど、亜希のピアス克服の予定が立ってるわけじゃない。


半年先のことなんて何もわからないし、想像もつかなかったりする。



でも、いい方向にいってればって思う。



いい変化。


俺はそれを期待してる。



もちろん、亜希の記憶が戻ることを願ってる。



十二色の石をぼんやり見ていた目を外に向ける。


一面のガラス張りから見える外の世界は、店の中が明るいせいか妙に薄暗く見えた。


足早に過ぎ去っていく人と、そこにゆっくり舞い落ちる枯れ葉。


チグハグなその動きをぼうっと眺める。



ん……?


あれって……。



そそくさと行き交う人に紛れて、独り違う時間の中にいるようなスローな歩きの人物が目に留まった。




見覚えのあるその顔は、


良平の、例の彼女だった。