「取り置いてもらったりって、できますか?」
流れ的に、というか、何となくそう訊いてた。
「あ、はい。できますよ。どちらの種類ですか? 入荷待ちの物もありますけど……」
「あ、それです、アクアマリンってやつ」
「こちらでしたらすぐにお出しできますよ?」
「いや……今じゃなくていいんです」
いつの間にかそういう流れになってて、俺はこれといった考えもなく店員に話を進めていた。
「金は払ってくんで、三月になったら取りに来てもいいですか?」
「あ、はい。それは全然構いませんよ。では、近くなりましたらご連絡差し上げる形にさせてもらいますね?」
「あ、はい。お願いします」
店員は「少々お待ちください」と言って俺の前からいなくなった。
店内を見渡すと、亜希は店の端っこのショーケースを眺めていた。
相変わらず興味津々に中身を覗き込んでいる。
……何やってんだ?
俺は……。
ふとそう思った。