「心配なんだよ……アイツは、亜希は俺にとって」


「好きなんですか?」



初めから全部わかってました。

あなたの気持ちはわかってました。


尋乃の言葉がそんな風に聞こえる。


確信を持って言ったような、そんな気がしてならなかった。



的中してる……。



でも、それを今ここで白状する気はさらさら無かった。


そんなことを言えば更に尋乃は傷付く。


そこまで苦しめるつもりなんか俺にはない。



「……好きだよ。大事な親友だから」



もう振り返れない。


俺はそれだけを言い、立ち去ろうと歩きだしていた。



でも……。





「私は! ……そんなの無いと思う!」



一歩ずつ遠退く背後から、尋乃の精一杯の声が届いた。


思わず足が止まる。


足元に散らばる落ち葉が風に舞い上がった。





「男と女の間に……友情なんて有り得ない」





風と共に耳に届いたその言葉は、俺の心臓を深く抉った。



男と女の友情なんて……有り得ない、か……。



本当にそうなのかもしれない。



そう思うと、何とも言えない複雑な感情が押し寄せた。



俺は逃げるようにその場を立ち去っていた。