亜希の前に男の人が立ってた。
窓の向こうの太陽が眩しくて顔が見えない。
でも…
良平くんでも秀くんでもないみたい……。
亜希の方に歩いて来て顔が見えたけど、知らない人だった。
とんがった靴を履いてて、破れたジーンズのズボンを着てる。
髪の毛がいろんな色をしてて、黒い人。
だれ?
亜希…
知らないよ……?
「久しぶり」
口だけ笑ってるその人は、亜希を知ってるみたいにそう言った。
だれ?
……亜希……知らないよ?
「最近全然会わなかったな? 元気してる?」
だ、れ……?
「……何だよ、シカト?」
「あの……」
どうしよう……
わからないよ……。
この人……あ、そうだ!
誰ですかって、訊いてみればいいんだ!
「……だれ、ですか?」
「はぁっ? ……誰って、おいおい、マジで言ってんの?」
亜希が誰ですかって訊いてみると、その人は急に笑い始めた。
どうして笑ってるの?
「ってか……あの噂、マジだったんだ」
その人は楽しそうに亜希を見て言ってる。
何か……
怖いよ……。