「まぁ、最近は大分話し方も違和感なくなってきたし、こっちが言ったことも何となく伝わるみたいだしな。何とかなるんじゃねぇか?」


秀はそんなことを言う。


「まぁ、な……」


「俺らが一緒に付いてれば大丈夫だと思うけど、あとは授業のときどうするかだな」


秀が言ったことを俺もちょうど考えてたとこだった。


俺らには授業ってもんがある。


大学に行っても、なるべく亜希から離れないようにしようとは思う。


ただ、俺と秀の授業時間がかぶったときが厄介だ。


たかが一時間半とかの時間だけど、その間、誰に声を掛けられるかわからない。



人目につかないとこ……。


どこかあるか?



考えてみると、ちょうど都合のいい場所が思い浮かんだ。



「あっ、図書館」


俺は思いついたままを口にする。


「あそこなら、あんま人来ないって聞いたけど」



うちの大学の図書館。


無駄に広くて、設備が整っている。


本館には学生証の提示が必要だけど、それ以外のだだっ広い自習スペースは誰でも利用できたりする。


たまに、受験勉強をしに来てる高校生なんかも見掛ける。


何万という本があるらしいけど、試験前しか混み合うことがないと前に聞いたことがあった。



「なるほどね……確かに人はいないな、今の時期なら」



秀は図書館事情を知ってるみたいにそう言う。


ちなみに、俺は一度も使ったことがない。



「まぁ、もし最悪かぶったら……だな?」