アンカーだけはトラック1周を走る。


でも、スタミナ配分とか、そんなのは考えていられない。


1位で俺にバトンが渡った瞬間、青団から歓声が起きたが、すぐに2位のやつが迫ってくる。


(くっそ……。はえーな…)


足はいつも通り動いているのに、後ろからの圧がすごい。


少し焦りが出たころ、半周を過ぎた。


その時、微かに耳に届いた声。



「成瀬くん…!頑張れ!」