涙―ルイ―





「…足痛いなら先に言えよ」


「え?あ、成瀬く…え?」



自分でもなんでかわからない。


中川が手を振った時、嫌な予感がしたというか、なんか離れたくないと思った。


階段の踊り場でしゃがんで、中川の方に背中を向ける。



「い、いいよ。重いし。授業はたぶん間に合うし」


「数IIクラス移動あんだろ。いーから乗れ」


「……っ…………でも……」



なおも首を縦に振らない中川。


そんな中川の腕を半ば無理矢理引っ張って、背に乗せる。