からかうような矢島さんの言葉に、浩輔の顔は一段と赤くなる。 「まじで、敦あとで覚えてろよ。」 浩輔は矢島さんを睨むけれど、その顔の赤さではなんとも説得力がない。 「はいはい。」 矢島さんは聞いているのか聞いていないのか、浩輔を相手にせずにニコニコ笑っている。 「もう帰ろう、遥。」 不機嫌になった浩輔は私の手を強引に掴むと、三人の引き止める声を背にして、そのままオフィスから出た。