「よし...」


黙々と作業を続けて1時間ほど

あたしは書類を積み重ねて

鞄を肩にかけると職員室に向かった




....うわぁ。


職員室の前で苦い顔


これ、引くタイプのドアじゃん

両手ふさがっててどう開けれっていうのよ!


なんて心の中の叫びは通じず


なんとか肘で開けた...とき


「わぁっ!」
「あっ」


同時に反対側からもドアを押され

勢いで書類が床に....落ちそうになったのを


ぶつかった相手が引き留めてくれた



「あっ...ありがとう、ございます」

「ごめんな!大丈夫?」


「大丈夫...」

ホッとため息をついて顔を上げると



色素の薄い髪の毛に少し焼けた肌

くりっと大きな目と綺麗な鼻

高い位置からあたしを見下ろす

伏目がちな長いまつげ


そしてYシャツの腕まくりから見えた

細いのに筋肉質な腕が片手であたしの書類

もう片方の手でドアを抑えていた



思わず、ドキッとした


その綺麗な顔立ちと

スッと細いのに筋肉のついた大きな体に。



彼と目が合って見つめあったのは

ほんの数秒


いや、一瞬


でもあたしの中ではスローモーションみたく

映画のワンシーンみたいな


ゆっくりとした時間が流れていて


一気に体が火照ったのが分かった


「職員室入るんだよな?」

「え、あっはい」


彼はおそらく、

"ドア抑えているから入れよ"

と言わんばかりの優しい目であたしを見たから


あたしは少し焦って頷いてから

彼とドアの隙間を通った




さわやかな柔軟剤の香りと

一瞬触れた彼の腕はガッチリとしていた