「よし、とりあえずこれでもう大丈夫だな」

「えっ?」

「いや俺、はるが何組かすら知らなくてさー今日一日ずっと探してた」

凌は少し照れたようにサラサラと短髪を触ると

また優しくほほ笑んだ



「そ...そうだったの?」


...思い続けていたのは

あたしだけじゃなかったってことだよね?



「あぁ、んでようやく発見。ちなみに俺は1組だから校舎違うけどよろしく」

「あっうん!...ありがとうね」



胸がきゅんとした


これでもう、心配ないんだ

学校でも会えるし 連絡も取れる

クラスや校舎は違えど

凌と繋がれたんだ



そう思うと嬉しさがこみあげて


さらに凌のことを強く意識してしまう


「じゃー俺もメシ食うし行くわ」

「わざわざありがとう...」

「また連絡するなー」


すると最後に軽くあたしの頭をポンと撫で

走って行った



取り残されても頭に残る触られた余韻

ケータイの画面に映し出される

安達凌という名前と

サッカーボールと凌らしき後姿のプロフィール画像



....嬉しい

あたしはケータイをポケットにしまい

席に戻ろうと振り向く


するとジロッと睨む隼人


「うわっ」

「オイ、なんだようわって」


つい隼人のこと忘れてた...


話の途中、しかも何か大切なことを言いかけていたはずなのに

それをスルーして凌のとこ行ったんだった


あたしは静かに椅子を引いて座りなおした



「途中で...ごめんなさい、で、なに?」

すると隼人は


「はぁ」とあからさまに大きなため息をついて

立ち上がった

「別にもういいわ、気が向いたら話す」


そして機嫌悪そうに教室を後にした


...怒らせたかな、あたし


いくら仲いい関係でも


いくら隼人でも


あんな感じで急に席立ったのは

いけなかったかな...



なんて後悔しつつもあたしは咲菜達のもとへ向かった