「で、なに?」

「は?」

「いや、隼人あたしのこと起こしたでしょ。なんか用?」

「相変わらず当たりつえー」


隼人はもう兄弟っていうか

ヤンチャな弟って感じで

ある意味咲菜以上になんでも話せる存在



「いいから何よー」


あたしは机の横にかけたお弁当に手をかけると

何気なく教室を見渡した


すると咲菜はすでに窓辺でいつものメンバーで食べ始めていた



....お腹すいた


「いや、あのさ...」


「はる、いる?」


隼人が何かを言いかけたとき

すぐ目の前の教室の入り口で

あたしを呼ぶ声が聞こえて

当たり前のように目をやった


「えっ、あっ...凌?」

「お!いた」

するとそこには


あたしがずっと会いたかった...


凌がいた



「ど、どうしたの?」

思わず凌に駆け寄ったものの

いざずっと思い続けていた相手を目の前にすると

緊張のあまりどもってしまう


...落ち着けあたし


「あ、連絡先聞こうと思って」

「えっ...」


凌はそう言ってにこっと笑うと

あたしの目の前でケータイを軽く振ってみせた


「LINE追加したいから、とりあえず番号教えて?」

「あっうん」


あたしの言葉の通り番号を打ち込む凌

少し伏目がちでケータイを見下ろしているから

長いまつげが影を作っていた



...綺麗だな


男の子だけど綺麗っていう言葉すら似合う




「ん?なんかついてる?」


不意に間近で顔を上げ

凌はニヤッと微笑んだ

「あっううん!」


あたしは思わず仰け反る様に1歩下がった



どきんどきん


初めて凌に会った時の

胸の高鳴りと同じ...