ずっと横でニヤニヤしている咲菜


「なによ」

笑いながら咲菜を見上げると

「いや?なにしてたのかなーと」


わざとらしく笑って口をとんがらせた


「何もしてないって!ただ...話してただけ」

「ふぅん...なんか最初から知り合いっぽかったよね?」

「あっ...まぁ」

「いつの間によ?あたし聞いてませんけどぉ」


...始まった、咲菜の尋問が始まった



昔からあたしは咲菜ほど男の子と話すこともなく


たまに話したりしただけで


すぐ咲菜はこうやって聞いてきた


「昨日たまたま職員室前でちょっとあって...」

「ちょっと...?」

「嫌特に何でもないんだけど、昨日の今日だったから...ね?」



本当に何もあったわけでもない


でも内容を説明するのが面倒で


あたしが少し濁らせたせいで


さらににやっと咲菜が笑ってきたのを


あたしは見て見ぬ振りした



「で、連絡先は?」


「えっ...?」

「は!?まさかアドレスと番号交換してないわけないよね?」

「....忘れた」


「うっそー!もう、ばかはる!」


...本当に、忘れてた


だって話していて楽しかったから....つい



「じゃあもう次会ったら絶対聞くこと!ね」

「はい...」



次...そうだ


連絡先を聞いていたら今後も連絡取れるけど


もしかしたら今後...何もないかもだよね



えぇ....やだ





それだけは絶対阻止しよう


何もできないあたしだけど



それだけを心に誓って


また凌の顔を思い出していた