「ん。」


南さんはかがむ。


そして、目を瞑る。


私は優しくキスをする。


「ん…甘い…」


「甘い、ですか…?」


「うん。羽咲はどこも甘くって…俺が作るお


菓子より甘い。」


「!」


「顔真っ赤。」


「そ、それは、南さんがそんな事を言うか


ら…」


「ドキドキした?」


「…いつも、ドキドキ、してます…」


「本当に?」


南さんは疑ったような顔をする。


「本当に…ですよ。」


本当だ。


だって、まだ慣れないもん。


このドキドキに。


好きで好きで、好きすぎるこのドキドキ。


結婚しても、尽きることのないときめき。


「好きですよ。本当に。」


「俺も、好き。」


「ずっと、一緒にいてくれますか…?」


「…それは、俺のセリフ。」


「どっちが言ったって、いいじゃないです


か。さっきに言ったほうが勝ちですよ。」


「ずるい。」


もう一度キスされる。


その時


「す、すみません…お取り込み中ですか…?」


「あ!」


お客さんが入ってくる。


「いらっしゃいませ!」


瞬時に南さんは接客モードになる。


私は、あんなところを見られたから


恥ずかしくって、顔がほてる。


でも。


多分幸せって、こういうことをいうんだと


思う。


本当に、


幸せだと思う。


ずっと、この幸せが続く。


そのことを願いたい。


そして、ずっと愛し合っていたい。


南さんと。