「宇佐木さんっ!」


「え…?羽咲、どうして…」


「私、本当はもっと言いたいこと…」


「?」


涙が零れる。


「本当は、行って欲しくない…ずっと隣にい


て欲しい…」


「羽咲…」


「でも、わがまま言えないから…」


「羽咲。」


抱き寄せられる。


苦しいくらいに抱きしめられる。


「宇佐木、さん…」


「俺だって、ずっと隣にいたい。でも、行か


なきゃ。」


「うん、ん…」


ー4番ゲート フランス:パリ行…ー


「あ…そろそろ行かなきゃ…」


「…うん。」


「あー。もう。」


「え…?」


「羽咲のせいで、羽咲が抱きしめたくなるよ


うな事するから、今離したくなくなったじ


ゃん。どう責任とってくれるの?」


宇佐木さんはイタズラな顔をする。


「それは…」


私は宇佐木さんにキスする。


「これで、許してくれますか?」


「…ずるい。」


宇佐木さんからキスしてくれる。


この唇を離したら、もう行ってしまうんで


しょ?


嫌だよ…


唇が離れる。


「じゃあ、行くね…」


「はい…」


宇佐木さんは搭乗口に歩いていく。


視界が涙でボヤける。


「羽咲っ!!」


宇佐木さんは、こっちに振り向く。


そして自分の首元をトントンと指す。


「え…?」


まさか…


宇佐木さんの方を見ると、金色のチェーン


が煌めいていた。


それは宇佐木さんが、私にプレゼントして


くれたペアのネックレス。


フランスと日本。


距離はとても遠い。


でも、お互いがお互いを思う限り


この思いは続いていく。


だから、


私はあなたを思い続けるよ。


宇佐木さん。


愛しています。