「羽咲ちゃん。そろそろ寝たら?」


優さんに言われる。


宇佐木さんはあの後、救急車で運ばれた。


傷も深く、出血も多かった。


しかも、殴り合いの時の衝動で、脳しんと


うを起こしていたよう。


お医者さんいわく、「立てて居たのが奇跡だ


った。」らしい…


今も治療室にいる。


「まだ、大丈夫です…」


「でも、全然寝てないじゃない。顔色も悪い


し…」


「大丈夫です…宇佐木さんが目覚めた時に、


一番に会いたいんです。」


「そう…」


「甘味 羽咲さん、白樺 優さんですね。」


「はい…」


お医者さんがくる。


「とりあえず、傷口を塞いで、処置もしまし


た。」


「よかった…」


「ただ…」


「なんですか?先生。」


「後遺症が残るかも知れません。」


後遺症…


それはお兄ちゃんを苦しめたもの。


ドクンと心臓が跳ねる。


「後遺症…」


「はい。ですが、生きていられただけでも奇


跡です。彼は本当に頑張りました。」


「…」


「そろそろ目覚めるはずです。どうぞ、案内


します。」


私と優さんは2人で宇佐木さんの眠っている


病室に向かう。