「いやー。さすがだね。宇佐木、優。」


「あとは、テメェだけだ。」


「あはは。そうだね。」


「じゃあ、気が収まるまで、やり合うか。」


宇佐木さんの目が怖い。


いつもの優しい目じゃない。


2人は殴り合う。


「ははっ!さすが、白銀の狼と呼ばれただけ


あって、強いねぇ。」


「舐めてんのかテメェっ!」


「舐めてなんかない。ただ…お前だけ光の下


を歩くことは許さない!」


「っ!」


「お前に潰されたプライド、仲間。そして左


目!お前は何もかも奪っていった!」


「お前らも、羽咲の、俺の親友を奪った!」


「…俺は、友達じゃなかったのか。」


「は…?」


2人の動きが止まる。


「少なくとも、俺はお前を友達だと思ってい


た。でも、宇佐木は違ったのか?」


「須藤。」


「…甘いんだよ。」


須藤さんの手に煌めくものが見えた。


「宇佐木さんっ!」


「南っ!」


「ばーか!」


宇佐木さんの腹部から赤い液体が零れる。


「ふはははっ!なーに、油断してんだよ!俺


もお前なんて仲間とも思ってねーよ!」


宇佐木さんはその場に倒れ込む。


私は、優さんに紐を解いてもらう。


「警察だ!須藤、及び暴走族、朱桜OB。集団


暴行罪及び傷害罪で現行犯逮捕!」


「あーあ。お迎えだ。じゃーね。羽咲ちゃ


ん。」


そう言って須藤さんは警察に連れて行かれ


た。


私は宇佐木さんに駆け寄る。


「宇佐木さん!」


「髪…切られちゃったな…ごめん。」


「なんで!髪くらい、また伸びるから!それ


より…」


宇佐木さんの腹部の血が止まらない。


涙が出る。


「大丈夫だ…よ」


「大丈夫じゃ、ないよ!」


「泣かないで…」