「うぅ…寒い。」


もう9月。さすがに寒くなってきた。


「風が冷たいね。」


「でも、良かったねー。話せて。」


「うん。」


「で、どうだったの?」


「うん。白銀の狼。宇佐木さんだった。」


「そうだったんだ…え?ごめん。もう1回言っ


てくれる?」


「えーっと…白銀の狼、宇佐木さんだった?」


「もう1回!ゆっくーり言って!」


「は・く・ぎ・ん・の・お・お・か・み・


う・さ・ぎ・さ・ん・だ・つ・た!」


「…えーっ!?まぢで!?」


「うん。」


「てか、なんで驚いてないの!?」


「うーん…なんか、薄々わかってたって言う


か…それよりも、宇佐木さんの抱えてた傷の


方が辛くって…多分、額の刺青はその誰にも


明かせない、悲痛な叫びを表したものなん


だと思うの。」


「そっか…」


「だからね。宇佐木さんが私を救ってくれた


ように、私も救いたいと思ったの。」


「羽咲らしい。」


「そうかな?」


「うん。その思いやりがあるところが、羽咲


らしい。そんなところを、宇佐木さんは好


きになったのかもね。」


「…そうだと、いいなぁ。」


もうすぐ冬がくる。


受験シーズンになると宇佐木さんにあえな


くなる。


今のうちに会っておかなきゃな。