「まさか私が、本気で蒼海ちゃんに、浮気なんてさせるわけ無いでしょ!?蒼海ちゃんだってそんな事出来るわけ無いじゃない?ねぇー」
澪ちゃんが私に同意を求める。
最終的には未遂だったけど、その気がゼロだったかと言われたら…分らない。
「蒼海ちゃんから話を聞いて、部屋に洋服を取りに戻った時に、彼に頼んだのよ」
私が、隼翔と知らない女性がいる所を見て、ショックを受け、行きずりの男と関係を持とうとしていると、隼翔に連絡を入れたという。そう連絡をすれば、必ず隼翔が駆けつけると分かっていたと言う。
「お兄ちゃんの焦る顔を観たかったのよ!まぁ誓約書の仕返しもしたかったからね」
誓約書の仕返し?
澪ちゃん、あれまだ根に持ってたの?
「昔さ、お兄ちゃん言ってたじゃん?『澪が男なんて連れてきたら、殴って追い返す!どれだけ澪の事本気なのか、俺が見定めてやる』って父親でもないお兄ちゃんがさ!ウザいけど、まぁそれはそれで嬉しかったよ!それだけ妹として愛されてるって思ってさ」
へぇー男連れて来たら殴って追い返すんだ?
私は横目でジロって隼翔を見た。
「な、何だよ…」
「いやーね?隼翔も私の父から殴られないと、いけないのかなぁーって思いましてね?」
「……俺は…昔から蒼海のお父さんとは親しいから良いんだよ!」
「ほっほー親しいから良いんですか?」
隼翔は「うるせー!今は澪の話をしてるんだ!」と言って舌打ちをした。
隼翔の困ったような顔が可愛くて、思わず隼翔の頬にキスをした。
「ばっ馬鹿!なにする!?」
うふふ、照れた隼翔も可愛い。
「ぅわーお兄ちゃんのこんな顔、初めて見た!可愛い」
耳まで真っ赤にする隼翔を、澪ちゃんがからかうように言う。

