幼馴染はどこまでも俺様過保護


「隼翔!どうして?」

隼翔は私の問に答えず、「その顔は何だ!?」と言って私を引きずる様にバスルームへ連れて行った。

隼翔がシャワーの蛇口をひねると、高い位置から活きよいよく、放出される水がふたりを打ちつける。

「冷たい!」

止めてと隼翔に抗議しようとした時、隼翔は真っ直ぐ私を見ていた。

前髪から滴る水滴、切なげな瞳… 
え?隼翔が泣いてる… 
いつも自信に満ち溢れている隼翔が…

私はなんて事をしたんだろう… 
自分の愚かさを隼翔の涙で知るなんて…

「ごめん…ごめん…隼翔…私を許して…」

許しを請うため、隼翔の胸にすがりつく。だが、隼翔は何も言わず、苦痛を堪えるように拳を握って立っていた。

やっぱり許してくれないよね…

私のやった事は隼翔への裏切り。許される訳がない。どんなに悔いて涙を流しても私の犯した罪は流されるものではない。

私は「…ごめん」と最後にもう一度謝って隼翔から離れ、バスルームを出ようとした時、後ろから隼翔が私を抱きしめた。

「隼翔?」

「…何処にも行かないでくれ…頼むから俺をひとりにしないでくれ…」

隼翔…

「蒼海が居なくなったら…俺は生きていけない…」

今まで一度もひとに弱い所を見せずに生きて来た隼翔が私にだけ見せてくれた姿。

「隼翔…私を許してくれるの?」

「ごめん…蒼海が悪いんじゃないんだ…俺が悪かったんだ…」