幼馴染はどこまでも俺様過保護


澪ちゃんはスマホで時間を気にしながら、「そろそろかな?」と言ってホテルのカードキーをカウンターに出した。するとそれが合図だったかの様に近くで飲んでいた男性が、私達の元まで来て、澪ちゃんが置いたカードキーを持った。

え?

戸惑う私に澪ちゃんは彼なら大丈夫と微笑む。そしてその男性は私に行きましょうと微笑んだ。

私は躊躇いながらも椅子から立ち上がるとその彼は私の肩を抱き、震える私に「大丈夫ですよ」と言ってくれた。

本当に大丈夫だろうか… 

これで隼翔を繋ぎ止めることが出来るだろうか…

隼翔を裏切って私は黙っていられるだろうか…

部屋の前についた時、私の迷いは無くなっていた。やっぱりこんなのは良くない!ちゃんと隼翔と話し合おう。もし、隼翔が私ではなくあの女(ひと)を選んでもそれを受け入れよう。好きでも無い人に抱かれるより、よっぽど良い。

「あの…やっぱり」

男性に断ろうとした時、後ろから駆け寄る足音がして、
「俺の女房に手を出すな!!」と言う怒鳴り声と共にバッシン!と、音がして、私の隣に立っていた男性が吹っ飛んだ。

えっ!?

一瞬の事で何が何だか分からず、私は、ただ驚いて立ち竦んでいた。

「来い!」と腕を捕まれ、倒れている男性と入るはずだった部屋に連れ込まれた。私の腕を掴んだのは鬼の様に顔を歪めた隼翔とだった。