私は今迄の父との時間を埋めようと、毎日病院に顔を出した。
「蒼海、毎日来てくれなくても良いよ?隼翔君の事を1番に考えてあげなさい」
「うん。大丈夫。ちゃんと考えているから…」
隼翔とは同じ屋根の下に暮らしていても、殆んど顔を合わせていない。
「アクセサリーの仕事はどうだい?楽しいかい?」
「うん!楽しいよ!好きな物作ってそれが仕事になってるんだもん」
「そうかそれなら良い。しかし、miu-la-umiの名前を知った時は嬉しかったよ!蒼海がまたアクセサリーを作ってるって知って」
え?
「パパは知ってたの初めから?miu-la-umiが私だって事」
「ママの名前が入ってるからね?蒼海がママの夢を叶えてくれるなんて思っても見なかったから、嬉しかった」
「ママの夢?」
「ママも若い頃、ワイヤーを使ってアクセサリーを作っていたんだよ。ママの写真にも写ってると思うよ。ママはロス生まれだから、『アクセサリーショップを出す時、ロス生れの美海が作ったから、LA.MIUなんて名前どう?』って嬉しそうに言ってたよ」
ママが?
なんだかママと同じ事を考えていたと思うと凄く嬉しい。
「家の2階の奥の部屋を覗いてご覧?ママの作った物が置いてあるから」
子供の頃、鍵のかけられていた、開かずの部屋。
あそこにママの物がある。
父は部屋の鍵を渡してくれた。そして、家の鍵は隼翔が持っていると言う。家はあの女が作った借金の返済に売られるところを、隼翔が自分に売ってくれと言って隼翔が買ったそうだ。だから家の鍵は隼翔が持っていると父は言う。
「今度、行って見る」

