幼馴染はどこまでも俺様過保護


父の思いを知った今も涙が次から次と溢れてくる。それはもう悲しい涙ではなく、父への謝罪と感謝、そして父を愛おしいく思う涙だった。

ベットに横になってるお父さんの顔が、見えなくなるほど私は泣いていた。

「隼翔…どうしよう…わ…わたし…お父さんに…お父さんに酷いこと言っちゃった」

「後悔してるなら謝れば良い。お父さんは許してくれるよ」

父は頭に腫瘍が出来、難しい手術を受けたと言う。手術をして1週間が経つが未だに目を覚まさないと言う。

「でも…目を覚まさなかったら…」

「大丈夫、必ず目を覚ましてくれる。信じよう」

父の本当の気持ちを知る事出来たのに、私の誤解だと分かったのに…大好きだったパパの手をまた握る事出来たのに…

もしかしたら2度と、名前を呼んで貰えないかもしれない。2度と抱きしめて貰えないかもしれない。もう一度パパの声が聞きたい。もう一度パパの笑う顔が見たい。

後悔と不安とで震える私を、隼翔は強く抱きしめてくれた。

その日から私は毎日、父が目を覚ますのを待っていた。痩せ細った父の手を握り、ごめんなさいと謝り、天国の母にパパを助けてと祈り願った。

私が付き添うようになって2週間が過ぎた頃、父が目を覚ました。

「パパ!」

「蒼海…」

良かった…
私の事分かるんだね?
ママ、パパを助けてくれてありがとう。

「パパ、ごめんね…ありがとう」

父は私の手を握り

「蒼海、お帰り」と微笑む父の目から涙が流れた。

後遺症で左半身に麻痺のある父は、その後も1ヶ月程入院した後、リハビリ病院に転医した。父は本当にリハビリを頑張ってくれて、母の思い出の詰まった家に戻ってこれるのもそんなに遠い話ではないと思う。

だが、私にはひとつ心配な事があった。