私の為…
なんで私の為にママを封印するのよ!
「蒼海が小学校の頃、『ママが欲しい、姉弟妹(きょうだい)がほしい』って言ったそうだ。夜も寝言で言ってたらしい。涙を流して」
知らない…
そんな事全然覚えてない。
「じゃ、私の為…」
「会社の上司の紹介でお見合いをしたらしい。まさかあんな女だとは、思っていなかっただろうがな」
私の為にママを自分の中に封印して、結婚したの…
「ずっと蒼海の事は心配していたらしい。自分を避けるようになった蒼海に、本当の事を言えずに、いつも寝顔の蒼海に悲しい思いをさせてすまないと、謝って居たらしい」
じゃ、私がアクセサリーを作っていた事、誰に聞いたわけでもなく、本当に知っていたの?
「蒼海が持っていた宝石な?お父さんが蒼海が産まれてから、毎年1つづつ、会社(うち)で、買い求めていたものらしい。親父が話してくれた。蒼海が家を出てからも本当に心配していた。何度も家に訪ねて来て、親父や母さんに蒼海の話を聞いていたよ。そしていつも、蒼海を宜しくお願いしますと頭を下げて帰って行ってた」
お父さんが…
ずっと私を見守ってくれていた
私は捨てられたんじゃなかったの
どうしよう…
私、何も知らなくて…酷いこと言ってしまった。
『今更、父親面しないで!!私には父親なんて居ないから!!私の親は死んだママだけ!!』
私の言葉に父はどんなに傷ついただろう…

