幼馴染はどこまでも俺様過保護


「蒼海はお父さんを誤解してるんだ。お父さんは蒼海を捨ててない!蒼海をずっと愛していたんだよ」

そんな訳ない。
隼翔は私をずっと見ていてくれたんじゃないの…
私がどんな思いをしていたか知っているのに、どうしてそんな事言うのよ!

「違う!この人は私を愛してない!私の母を…ママを忘れたの!!」

「それは蒼海の為だったんだよ?蒼海が望んだからお父さんは再婚したんだよ」

「私は望んでない!ママを忘れて欲しいなんて望んでない!!」

私は泣き叫んでいた。
ここが病室だという事を忘れて、子供のように泣き叫んだ。
あの頃の寂しさや悲しみ、そして怒り、全てを吐き出すかのように泣き叫んだ。

「蒼海、俺の話をちゃんと聞くんだ!」

隼翔は落ち着けと言って、私を抱きしめ昔の事を話してくれた。

父は出張の多い仕事で、生まれたばかりの乳飲み子を、ひとりで育てるのは無理だと周りに反対されたそうだ。養子に迎えたいという人も居たらしく、親戚の人達からも、乳飲み子を抱えて苦労しなくても良いと、養子に出すようにと勧められたらしい。

でも、父は愛する妻が残してくれた宝物だから、絶対に手放さないと言い張り、海外出張も極力減らしてもらい、住み込みのお手伝いさんを探して育ててくれたと言う。

「俺の死んだ母さんも心配してたのを覚えてる。仕事をしながら乳飲み子を育てるのは大変だと思う。もし、今の俺だったら出来るだろうかって思うよ…」

隼翔…

「蒼海が幼稚園でママが迎えに来ないと泣いていた時も、周りは心配していたそうだ。園長先生からも心配して見合いの話があったらしい」

その頃からお見合いの話があったの…

がだ、何度見合いの話を持ってこられても全て断っていたらしい。妻以外の女性を愛せないからと

「お父さんは本当に蒼海のお母さんを愛していたんだよ」

「嘘!じゃどうしてあの女と結婚しての!!私のお母さんを忘れたんでしょ!?そんなに愛していたなら、忘れるわけ無いじゃない!」

「忘れたんじゃない。自分の心の中に封印したんだよ?蒼海の為に」